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DVD評『ポーリーヌ』

『ポーリーヌ』(04年10月24日鑑賞)
 もう70過ぎの四人姉妹。知的障害の妹・ポーリーヌを世話していた長姉が死に、妹たちがポーリーヌの世話をしてくれるなら財産をあげる、との遺言が残される。金は欲しい、でも手のかかるポーリーヌは抱え込みたくない。二人の姉妹はポーリーヌを押しつけ合って結局はどちらも破綻、施設に預けることになる。
 筋としてはこれだけ。
 でも共に77歳という女優の名演に最後まで飽きずに観てしまった。ブリュッセルの花絨毯の祭の鮮やかな色彩と、祭が終わって同じ場所を一人歩く孤独なポーリーヌの姿が心に残る。
(リーフェン・デブローワー監督 2001年 ベルギー・フランス Pauline&Paulette)

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DVD評『スクール・オブ・ロック』

『スクール・オブ・ロック』(DVD 04年10月17日鑑賞)
 目指す対象に一途すぎて世の正道を踏み外してしまう。ま、良くあることです。ロックバンドのギタリストでヴォーカルのこの男もそう。観客やバンドの仲間がついてきてるかどうかは二の次、まずは自分の音楽を押しつけてしまう。で、クビ。
 おまけに同居している元仲間からは怠納している部屋代を払えと催促され、窮したこいつは同居人のところに来た仕事を横取りして教師になりすます。教えることは「あきらめ」。何をやっても結局は無駄なんだ、と。ところが生徒の中に楽器の名人が何人もいることに気づいたこいつ、生徒達をバンドに仕立て上げて賞金を稼ぐことを思いつく。ここからは授業も宿題もロック、ロック、ロック。
 世に反抗せよといいながら、その反抗の流儀とかが妙~に押しつけで教育的なのが笑わせる。
『スウィングガールズ』と比べると、日米の教育観の差異が浮き彫りになる。と思う。
 思ったよりも爽快な佳作。
(リチャード・リンクレイター監督 2003年 アメリカ SCHOOL OF ROCK)

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DVD評『ホーンテッドマンション』

『ホーンテッドマンション』(DVD 04年10月16日鑑賞)
 豪邸を売りに出すから見に来てくれ、あなた一人で。とご指名されたんだけど、夫も子供二人も連れて来てしまった。案の定、怪しい執事が出てきて、案内された奥にはもっと怪しい主人がいて、お決まりのように激しくなった嵐に家族は閉じこめられ、お約束のように幽霊が出て、ドタバタ騒ぎの中でこの屋敷の悲しい秘密が明らかになる。
 子供だましの連続に飽きかけたころ、ちょっとホロッとくるラストが待っている。88分という短さも嬉しい。
(ロブ・ミンコフ監督 2003年 アメリカ THE HAUNTED MANSION)

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映画評『ヘルボーイ』

『ヘルボーイ』(劇場 04年10月15日鑑賞)
 敗戦直前、ナチスは冥界の戸を開いて世界を破滅に導こうとしていた(オイオイ)。もちろん、その計画は達成直前に阻止されたのだが、一瞬開いてしまった冥界の穴からは異形の赤ん坊が生まれてしまう。これが「ヘルボーイ」。それから60年経った今、ヘルボーイはFBIの特殊な部局で魔界からの侵入者たちと極秘に戦い続けてる。折れた角の痕が切り株のように頭に残る赤鬼のような正義のヒーロー。
 で、怪僧ラスプーチンの操る奇怪なコスチュームのナチの残党とかそういうのもまた蘇ってきてヘルボーイとの死闘が始まるんだけど、長い・・・。ヘルボーイの悩みとか勘違いとか、人間くさい面を描くのはいいんだけど、長い。長く感じさせてしまう。やっぱり「悪」のキャラが平板すぎるんだな。それにしても、もっと入っていいんじゃないか、客。数えたところ、広い劇場に4人。寒かったぞ。
(ギレルモ・デル・トロ監督 2004年 アメリカ HELLBOY)

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DVD評『スキャンダル』

『スキャンダル』(DVD 04年10月10日鑑賞)
 今をときめくヨン様主演の時代劇。あの女を落とせたらこの身体を許してもいいわよ、と如何にも多情そうな従姉妹(イトコと交わること自体、朝鮮社会ではものすごいタブー)に言われ、言われるままに、その硬い身持ちで知られる女をあの手この手で口説く領主様。これがペ・ヨンジュン。
『冬のソナタ』ではそのハクチ美と演技のない演技で失笑を買いつつも一部女性を魅了したヨン様だったんだけど、この『スキャンダル』の好色な領主様は素晴らしいのひと言。他の女に・・・させながら目的の女からの四角四面な返事をニマ~ッと読むところなんざ、もう、「微笑みの貴公子」ならぬ「微笑みの鬼畜」そのものです。
 字幕やシナリオにかなり問題、というか朝鮮(李朝)時代の考証そのものがムチャクチャなんだけど、それはまあ日本の時代劇でもアリガチだから仕方ない。
 けっこう面白かった。
(イ・ジェヨン監督 2003年 韓国 朝鮮男女相悦之詞)

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映画評『スウィングガールズ』

『スウィングガールズ』(劇場 04年10月8日鑑賞)
『ウオーターボーイズ』の女の子版。吹奏楽部の助っ人のはずが、ミイラ取りがミイラになってジャズにハマってしまった女子高校生達。に、くっついてるちょっと気の弱い男の子。『ウオーターボーイズ』と同じくまともな人間は一人もいなくて、起きる事件も同様にバカバカしくてほとんど全く説得力はない。なのに、もう強引に、役者と音楽のパワーだけで引きずって行かれる怒濤のラスト。劇中の曲をすべて役者が演奏しているというのも凄い。
 これはぜひ劇場で。
(矢口史靖監督 2004年 日本)

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DVD評『美しい夏キリシマ』

『美しい夏キリシマ』(DVD 04年10月4日鑑賞)
 昭和20年の8月、宮崎、霧島のふもと。空襲で友を見殺しにしたと思い込んだ少年は、祖父の家でウジウジ悶々と過ごしている。肺浸潤だとかで、勤労動員にも行っていない。治療といえばお灸。なんか仮病臭いぞ。
 本土決戦間近の重苦しい雰囲気、というのは全然無くて、軍の食糧を盗んだり、不倫したり、悩んだり、村のみんなはそれぞれ自分勝手な理屈で生きている。ただし、そこには一本、生命の限界の糸、というか、ごく身近にある「死」の空気がピンと一本張りつめていて、もう、ひたすら、たとえようもなく美しい。
 特典映像での監督インタビューによれば、今が戦前に似てきたから、という左翼的問題意識で作られた作品なんだそうだ。ところが監督自身の問題意識をはるかに裏切り、作品は戦争というものの妖しい美しさを見事に描ききってしまった。実際、昭和20年8月は、史上もっとも美しい夏だったに違いない。懐かしくて悲しくて、傑作中の傑作。
(黒木和雄監督 2003年 日本)

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DVD評『ふくろう』

『ふくろう』(DVD 04年10月2日鑑賞)
 内地じゃ食えんか、なら満州へ行け、引き上げてきたか、そんじゃここを開拓しろ、と、まるで棄民のように弾かれ弾かれ、飢え死に寸前にまで追いつめられた母娘がボロ屋で始めた水商売。というか、売春。でもないんだな、やった後に毒草焼酎を飲ませて殺すんだから。
 出だし、ボロ服を着て埃だらけの女二人が意味もなくボロ小屋の中をはいずり回るシーンのバカバカしさに、もう観るのをやめようかと思った。実際、バカバカしさにも程があって、80年代の設定なのに「リストラ」なんて言うやつや、「公共事業の無駄」が云々と驚異的に先見の明のあるやつもいる。物語はもう、話にならない。けれど、何か、力、というか画面に何かがあって最後まで観てしまった。だって大竹しのぶは鬼気迫るし、なにより伊藤歩(『スワロウテイル』のアゲハ)がすばらしい。いや別に、伊藤のヘアヌードが観られたからってわけじゃないよ。
(新藤兼人監督 2003年 日本)

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映画評『アイ、ロボット』

『アイ、ロボット』(劇場 04年10月1日鑑賞)
 未来のシカゴ。街中にロボットが溢れてる。で、ロボットを開発した大企業の博士が自殺。でもその「自殺」に疑いを持ったハグレ者の刑事は一体のロボットに目をつける。実際、このロボット、命令に反して逃げるし、なんか感情らしきものさえ芽生えかけてる。なんか怪しい、と捜査を進めるうちに変な(というか、ものすごい)事件が刑事の回りで起き始め、まあお決まりの如く捜査の一線から外されつつも執念で事件の中枢にたどり着き、でも時はすでに遅くて、事件はついに人類の命運なんて大変なことにまで拡大してしまう。つまりハリウッド的物語方程式の理想的な解法。
 ロボット軍団とのバトルは目が回りそうなほど迫力がある。CGでここまでやれるんだと妙なところに感心。
(アレックス・プロヤス監督 2004年 アメリカ I, ROBOT)

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映画評『バイオハザードⅡ アポカリプス』

『バイオハザードⅡ アポカリプス』(劇場 04年10月1日鑑賞)
 感染して死んだらゾンビになってうろつき回って他人に噛みついてそいつもゾンビにしてしまうという(笑ってしまうほど都合のいい)ウイルスが大企業の研究室から漏れて街じゅうがゾンビ化してしまってさあ大変。ここに前作で活躍した女もまたパワーアップして帰ってきて、ウイルスを作った(ちょっとマッドな)科学者の娘を救い出すべく、前作どころじゃない驚異的な活躍をする。でもそれもまたウイルスを操る大企業のオペレーションの一つに過ぎなくて、という果てのない入れ子構造の物語。音楽は下品だし、細部にはおかしな所が山ほどで物語の辻褄も合わなかったりするんだけど、最近観た中じゃいちばん怖かった。心臓の弱い人は観ない方がいいでしょうね。
 思うに、こういうのって、きっと、その昔ローマ人やゲルマン人がキリスト教の「最後の裁き」の教義を聞いて震え上がった、その原記憶のたどり直しなんだろうな。だって「裁きの日」には死者がいっせいに蘇るわけでしょ。ゾロゾロと。そりゃ初めて聞いたときには怖かったとおもうよ。それを今でもこうやって語り継いでるわけだ。この映画も原作は日本のゲームだけど、イメージの肉付けは明らかにキリスト教。日本人にはちょっとここまでは作れない。
(アレクサンダー・ウィット監督 2004年 カナダ・イギリス RESIDENT EVIL: APO.)

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