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DVD評『みなさん、さようなら。』

『みなさん、さようなら。』(04年12月27日鑑賞)
 ワインと女を愛し、政治的には知的な左翼の大学教授、それゆえ(かどうかよくわからないけど)妻や息子には嫌な思いもさせたんだろう、息子は父親とは全く違う道を歩むことになった。で、父親はガンで死にかけてる。大金持ちの息子は父親が快適な最期を送れるように湯水のように金を使う。病院の個室が無ければ空いてる階を改装してつくらせるし、友人たちや元愛人たちまで呼んでくるし、大学での教え子にも金を払って見舞いに来させたりもする。もちろんすべて、どこか割り切れない気持ちを抱きながら。
 ところがジャンキー(ヤク中)の幼なじみに父親への非合法のモルヒネ投与の管理を頼むあたりから息子の気持ちは和解へと傾きはじめ、でも和解をすませたその日、父親は自ら死を望む。カリウム溶剤と思しき注射が一本……二本……あまりに安楽な〈死〉のあっけなさ。これでいいのか?
 重いテーマなのに話は洒脱で会話にもエスプリが効いていて(カナダのフランス語)、最期まで父親が病人に見えないことも(あまり)気にならなかった。
(ドゥニ・アルカン監督 2003年 カナダ・フランス LES INVASIONS BARBARES/THE BARBARIAN INVASIONS/INVASION OF THE BARBARIANS )

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DVD評『アメリカン・ラプソディ』

『アメリカン・ラプソディ』(04年12月22日鑑賞)
 共産主義体制下にあったハンガリーからアメリカに亡命してきた夫婦。赤ん坊は後から来るはずだったのに手違いで残ってしまい、5年間、ハンガリーの農家に預けられて育つ。アメリカの両親は八方手を尽くして赤ん坊だった娘を呼び寄せるのだが、この娘はアメリカや両親になじめず、いつもハンガリーの里親を懐かしく思い出すのだった。そして10年が過ぎ、母親の過干渉に耐えかねた娘はハンガリーに戻っていく。
 前半は物語の流れがトロくて退屈だったけど、母娘の軋轢が全面に出だしてからは結構手に汗握る場面もあって、娘が里親とブダペストの街を歩む姿には思わず感動してしまった。
 どんな場所であれ〈故郷〉は〈故郷〉なんだとつくづく感じたことでした。
(エヴァ・ガルドス監督 2001年 アメリカ AN AMERICAN RHAPSODY)

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DVD評『フォーチュン・クッキー』

『フォーチュン・クッキー』(04年12月20日鑑賞)
 互いの生活態度に反発しあう母と娘が怪しげなクッキーのせいで心を互いに入れ替えられ、当然当人同士は大騒ぎ。でもこんなこと人には言えない。それに母には仕事があるし、娘にはバンドがある。しばらくこっそりと入れ替わっていようか。でも、母の再婚の結婚式は待ったなしに迫ってきて……。
『あたしンち劇場盤』と設定はそっくりながらドタバタ加減はこっちの方が数段上。なぜならここには再婚とか恋人とかでセックスの問題が絡んでくるから。
 物語にはこれといったヒネリもなく、母娘の和解というテーマも月並み、だからこそ安心して笑って観ていられる。
(マーク・S・ウォーターズ監督 2003年 アメリカ FREAKY FRIDAY)

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DVD評『カレンダー・ガールズ』

『カレンダー・ガールズ』(DVD 04年12月19日鑑賞)
 イギリスの田舎町の婦人会というか何というか、そういう組織があって、そこに仕方なく所属して歌を歌ったりブロッコリーの歴史についての退屈な講演を聞いたりして過ごしていた親友のうち一人が夫を亡くし、二人は世話になった病院にソファを送ろうと、毎年恒例のカレンダー作成・販売にちょっとした作戦を思いつく。
 自分たちがヌードになってカレンダーを飾るのよ、きっと売れるわよ、っておいおい、カレンダーなら12人必要でしょ。ここからは、アンタも脱いで、アンタもよ、と、中年、それもかなり終わりかけの中年女性たちの話とはちょっと思えないバカ話が展開されて、でも、これが実話だというから驚く。
 けっこう面白かったけど、妻がこんな事をやりだしたら身を挺してとめる。
(ナイジェル・コール監督 2003年 アメリカ CALENDAR GIRLS)

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DVD評『ションヤンの酒家(みせ)』

『ションヤンの酒家(みせ)』(DVD 04年12月10日鑑賞)
 重慶の夜店で鴨の首の揚げ物を売って生計を立てているバツイチの女性・ションヤン。夜の街に恐ろしいほどハマってる。ここに、どこから見てもエロ親父風の男が通い詰め、お互いに気があるのやら無いのやら、のアヤシイ空気が流れ、で、街には再開発の噂、ションヤンは突然人生の岐路に立たされる。
 ションヤンは気丈なのに、というか、気丈すぎるのか、関わってくる人間たちはみな精神的にひ弱でたよりない。ヤク中の弟やその弟に恋してる店員なんか、いったい「自分」というものがあるのかどうかさえわからない。そんな弱い人間たちをションヤンは夜の街の化身の如く優しく優しく包み込む。これを包容力というのか、それとも支配欲というのか。同じ監督の『山の郵便配達』とは対極にある、滅び行くものたちの醸し出す爛れたエロスの香りムンムンで、なかなかよいです。
(フォ・ジェンチィ監督 2003年 中国)

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映画評『ハウルの動く城』

『ハウルの動く城』(劇場 04年12月3日鑑賞)
 荒れ地の魔女に魔法をかけられて老婆になった少女は魔法使いハウルの動く城に掃除婦として住み込むようになって、戦争好きの王様からはハウルにも招集が来て、空襲があったり、魔王への変化(へんげ)があったり、なんかもう、得体の知れない素材がゴタゴタと放りこまれた闇ナベ状態、だから、猛烈な睡魔に耐えに耐えて迎えたラストも何が何やらサッパリわからない。「愚かな戦争」とか「軍靴の音」とか「きな臭い臭い」等々、常套的な左翼的反戦用語で絶賛されそうな、愚作中の愚作。
 とにかく「歴史」や「政治」、そしてなにより「恋愛」を描くことは苦手なんだから、宮崎監督はもっと幼い「家族」の物語を紡いで欲しい。せっかく『千と千尋の神隠し』で自らのファンタジーの鉱脈を掘り当てたというのに、残念!(2004年の流行語大賞にこんなのもあったんです……何年後かの読者のために)
(宮崎駿監督 2004年 日本)

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映画評『いま、会いにゆきます』

『いま、会いにゆきます』(劇場 04年12月3日鑑賞)
 死んだ妻が息子との約束通り雨の季節に戻ってくる。記憶を無くして。夫は高校時代のなれそめから学生時代の淡いふれあいを語り、もう一度、妻との「純愛」をやり直す。
 話としては何重にも「ありえない」し、盛り上がりも意外性もない。ただ、この他愛のないオハナシを中村獅童と竹内結子が猛烈な演技力で支えていて、キスシーンなんか、初々しすぎて見てるこっちが恥ずかしい。泣きたい方には『セカチュー』よりお薦め。
(土井裕泰監督 2004年 日本)

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DVD評『エル・コロナド 秘境の神殿』

『エル・コロナド 秘境の神殿』(DVD 04年12月1日鑑賞)
 スイスに仕事に行った婚約者が書類をここに忘れてる。届けてあげるわね、と海を越えてスイスまでやって来た。ところが、その事務所はただの私書箱。婚約者の姿はどこにもない。仕方なく書類を開けてみるとスペイン語。どうも中米の「コロナド」という国にいるらしい。
 で、「コロナド」にやって来る。ここは政府軍と反乱軍の拮抗する「革命」の真っ最中。知り合ったテレビのレポーターと一緒に革命の根拠地へと潜入してそこで婚約者と再会するんだけど、これがどう見てもアヤシクて、実際、アヤシイ方向へと話は向かい……珍妙な冒険活劇は事実か単なるオハナシか。結末は宙づり。
 古典的な革命劇は薄っぺらだけどアクションは結構爽快。谷にかかる巨大な木橋のシーンはマジで手に汗を握ってしまった。
(クラウディオ・ファエ監督 2003年 アメリカ・ドイツ CORONADO)

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DVD評『ディボース・ショウ』

『ディボース・ショウ』(DVD 04年12月1日鑑賞)
 離婚する。財産は夫婦半分ずつわける。ところがこれだと、大金持ちと結婚しての離婚を繰り返せば濡れ手で粟の大もうけが出来てしまう。これを防ぐために婚前協約を結んでおく。離婚しても何一つ奪いません、と。
 この「協約」のひな形を作って離婚訴訟の権威となった弁護士が一人の女に手の込んだ復讐を受けて振り回される。とにかく「財産」と「愛」が絡むとややこしいし、この制度のもとでは確信犯的に「財産」を狙って「愛」を求めてくる女を排除するのは無理でしょう。基本的に美女の前では男ってバカだし。「子供」が絡んでないのがまだ救いではありますが。
(コーエン兄弟監督 2003年 アメリカ INTOLERABLE CRUELTY )

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