『マッハ!』(DVD 05年1月18日鑑賞)
奪われた仏像の首を取り戻しに村の英雄がバンコクへと向かう。ヤクザ組織や賭けムエタイの強豪(白人、日本人、ビルマ人)と闘いながら。で、約束がある。
1)CGを使わない。
2)ワイヤーを使わない。
3)スタントを使わない。
4)早回しを使わない。
5)ムエタイのみを使う。
って、村の師匠とは「ムエタイ」を使わないって約束したじゃん、あの約束はどうなったの? いかに正義のためとはいえ、主人公がムエタイを使えば使うほど事態は悪化して泥沼じゃん、などと野暮なことを言ってはいけない。とにかくバカバカしいほどの肉体映画。飛んで、跳ねて、着地! よし! 今度は横のカメラから、飛んで、跳ねて、着地! よし! 今度は下から……おいおい、見せたいのはわかるけどさ、事実、面白いんだけどさ、これはやりすぎ。エンディングのNG集じゃなくて、舞台裏集がいちばん笑えた。
(プラッチャヤー・ピンゲーオ監督 2003年 タイ ONG BAK: MUAY THAI WARRIOR)
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『バッドボーイズ2バッド』(DVD 05年1月16日鑑賞)
マイアミからやってくるキューバ産の麻薬のモトを立つため市警が立ちあげた特捜チームTNT、その中の敏腕コンビ・マーカスとマイクのけたたましい活躍というかなんというか、いきなりKKKと銃撃戦。で、マイクはマーカスには秘密でその妹のシドとデキてるし、シドはシドでFBIのおとり捜査などという危険なことを二人に秘密でやっている。この3人の、キューバ人の麻薬王みたいなイカレポンチを巡る追跡は悪趣味な死体ビジネスを経てついにキューバ本国にまで及び、とても納得出来るようなモノじゃないご都合主義的なラストへとなだれ込む。地雷をそんな風に使っちゃ、おいおい。
迫力はあるけど説得力のカケラもない。でも観てしまう。こういうのが、まあ、ジェリー・ブラッカイマー製作映画の特徴と言えばそうなんだけど。
(マイケル・ベイ監督 2003年 アメリカ BAD BOYS II)
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『リリィ』(DVD 05年1月8日鑑賞)
女優である母に奇妙なコンプレックスを抱いている映画監督志望の恋人を捨て、パリに出て行こうとするリリィ。と、ここまで来るのに物語は実にまったりまったり進んで、そのトロさにいいかげん飽きかけた頃、元恋人の精神的破局から話は一気に進む。
数年後、パリで人気女優になったリリィは元恋人が自分たちの物語を映画化しようとしていると知る。私を演じるのは誰? 再会する恋人たち。でももうお互いに相手はいて、二人とも昔の二人じゃない。このあたり、ちょっと切ない。
チェーホフの現代版。
(クロード・ミレール監督 2003年 フランス LA PETITE LILI)
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『ラブ・レター パイランより』(05年1月6日鑑賞)
「ここの人はみんな親切です。でもカンジェさんがいちばん親切。だって私と結婚してくれたんだもの」
カンジェがこの手紙を読んだのは妻・パイランが死んだ後、しかもこの「妻」とは一度も声を交わしていない。単に小銭欲しさに偽装結婚をしただけの関係。ドア越しにチラッと顔を眺め、なかなか可愛いじゃん、で、パイランは「結婚」によってビザを取得するやそのまま田舎町の洗濯屋に住み込みで働き始め、もちろんカンジェは「妻」の事など気にも留めない。ところが、中国から単身やってきて頼るものとてないパイランは、唯一の「身より」であるカンジェに不思議な愛情を抱くようになる。でもそのピュアで切ない気持ちに気付いた時、すでにパイランはこの世にいない。
泣ける。
男泣きに泣ける。
多分女性が見たら、こんな身勝手でどうしようもない男や狂った男社会の矛盾に怒りを感じてしまうんだろうけど、これはもう男として泣くしかない。
最初、パッケージと中身が違ってたのかと思うくらいしょーもないヤクザの話が続き、ところがセシリア・チャン演じるパイランが登場するや、画面は一気に切ない純愛の世界になだれ込む。ここでもカンジェのチェ・ミンシクがいいですね。ラストは納得出来ないけど。
でも、これもまた原作は日本(浅田次郎「ラブレター」)なんだよな。『オールド・ボーイ』といい、本作といい、日本の映画人は何やってんだ。
(ソン・ヘソン監督 2001年 韓国 failan)
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『エレファント』(05年1月4日鑑賞)
コロンバイン高校の虐殺事件をモデルにしたと思しき、高校生による高校の襲撃と殺戮劇。オムニバス・フィルムのように次々と主人公が入れ替わり、時間も進んだり戻ったり、で、殺戮の現場で全てが繋がる。んだけど、そこには何の意味もない。居合わせたから殺された、とそれだけ。淡々とした日常がひとかけらの狂気も交えることなく(とも言えないところが弱さかも知れない。ヒトラーの映像など余計だった。いじめられっ子の復讐という設定はさらに余計)銃声しか響かない静かな静かな修羅場に転化して、何とも言えない後味の悪さを残す。
『ボウリング・フォー・コロンバイン』よりもよほど真摯な作品。短いのに結構疲れる。
(ガス・ヴァン・サント監督 2003年 アメリカ ELEPHANT )
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『ドーン・オブ・ザ・デッド』(05年1月2日鑑賞)
『ゾンビ』のリメイク。
噛まれたらいったん死んでゾンビになってよみがえる。生き残った人間はショッピングモールに逃げ込んでなんとか持ちこたえ、人間関係の軋轢を乗りこえて脱出の機会をうかがうのだけれど、ちょっとしたホコロビが重大な危機をもたらして、一人、また一人とゾンビの群衆に襲われて死んでゾンビになってよみがえって……まあ、アリガチですが、古典のリメイクだから仕方ないか。
気色の悪さも怖さも今ひとつ。
(ザック・スナイダー監督 2004年 アメリカ DAWN OF THE DEAD)
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『9000マイルの約束』(05年1月1日鑑賞)
第二次大戦後、戦犯として(たぶん冤罪)ラーゲリ送りにされた元ドイツ兵の逃亡劇。厳寒の収容所で凍え死ぬよりはと安易に脱走してとっつかまり、雨ざらしの地下牢から辛うじて生きて出てくれば、今度は連帯責任で5日間絶食させられた仲間の凄惨なリンチが待っている。これで半殺しにされて医者の元に担ぎ込まれ、この医者の用意していた逃亡用のこまごまとしたアイテムをもらい受け、こんどは本格的に脱走する。でもそこからがまた大変で、だいたい何千キロの雪原を歩いて帰ろうってのが無理多すぎ。
日本にもシベリア抑留とかで同様のドラマが有ったはずなんだよな。反戦というなら、例の『赤い月』(クダラなくて10分で観るのをやめた)みたいな駄作じゃなく、このくらいの映画を作って欲しい。
(ハーディ・マーティンス監督 2001年 ドイツ AS FAR AS MY FEET WILL CARRY ME/SO WEIT DIE FUESSE TRAGEN)
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