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『僕はラジオ』

『僕はラジオ』(DVD 05年5月25日鑑賞)
 アメフト部のクソガキ共が知的障害者の青年を縛って物置に閉じこめ、外から壁にボールをぶつけて怯えさせて遊んでいる。のを見つけたアメフト部の「コーチ」は青年を助け、それ以来、青年は高校に入り浸るようになる。それまで口もきけなかった青年は「コーチ」の計らいで生徒たちと接触しつつ、ついにはふざけあい、笑顔さえ見せるようになる。ラジオが大好きな青年のあだ名は「ラジオ」。優しさだけが純粋なカタマリになって残ったような「ラジオ」は周囲の理解を得つつ、次第に学校に溶け込んでいく。
 もちろんそこに至るまでには「コーチ」の常軌を逸した「ラジオ」への入れ込みがあり、それは学校当局や父兄や自身の家族との軋轢を生まずにはいないのだが、それでも、問題の解決方法が実にスマートなので周囲も迂闊には反対できない。この「コーチ」の大人ぶりが実にいい。
 きれいごと? もちろん。でも実話ベースの物語って、そういうものでしょう。
(マイク・トーリン監督 2003年 アメリカ RADIO)

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『ロスト・イン・トランスレーション』

『ロスト・イン・トランスレーション』(DVD 05年5月24日鑑賞)
 CM撮影のために日本にやってきた男優と、カメラマンの妻との、なんとも気怠い、恋とも言えぬ心の接触というか、それ以上がないだけに、なんとも気怠くて、それがエキゾチックな東京の雰囲気に浮きながら溶け込んでいて、いや、何とも言えぬ、不健康な魅力を醸し出している。
 男優もカメラマンの妻も、基本的に自分の配偶者との意思疎通が出来ておらず、その欠落を埋めるかのように引かれあうんだけど、だからといって、この二人が互いの何かを理解し合っているというわけでもない。もしこの二人が不倫の関係になって結婚しても、また同じことを繰り返すだろう。生まれながらに孤独な人間はいるものだし、そんな人間はそんな風にしか生きていけないものだってこと。この人とつながったかも知れないって一瞬の幻想を思い出にしてね。いや、切ない。
 前評判は今ひとつだったけど、これは中々だと思う。
(ソフィア・コッポラ監督 2003年 アメリカ Lost In Translation)

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『ソウ』

『ソウ』(DVD 05年5月21日鑑賞)
 いかにも人が死にそうなうち捨てられた地下のトイレに、死体が一つと、男が二人。男たちはそれぞれ片足を鎖で部屋の隅に縛られていて動けない。そこに、一人にだけメッセージが来る。あいつを殺せ、殺せば許す、と。
 で、この限界状況をもたらした犯人を追う刑事たちの話もあって、これが男たちの運命に微妙に絡み、さらに妻子の危機、不倫の清算、そして「ソウ(SAW)」とは「見た」と「ノコギリ」、いや~久しぶりに怖かった。
 ストーリーを書けば書くほどネタバレになって衝撃が薄れてしまう。とにかく、怖いモノ好きは観ること。
 ラスト、
「生きてることに感謝しないヤツが多すぎる」ってなぁ、うん、その通り。でも、お前が言うな、お前が!
 話が複雑でちょっとグロいので子供には無理かも。
(ジェームズ・ワン監督 2004年 アメリカ SAW)

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『ヴェロニカ・ゲリン』

『ヴェロニカ・ゲリン』(DVD 05年5月20日鑑賞)
 捨てられた注射器を拾って麻薬ごっこをして遊ぶ子供たち。1990年代の前半、アイルランドの首都ダブリンは麻薬売人の巣窟になっていた。この現実にペンで立ち向かったのが伝説のジャーナリスト「ヴェロニカ・ゲリン」。警察さえ及び腰の麻薬王に迫り、その素顔を暴き、当然、危ない目にも遭い、恐喝もされる。同僚は妬みから自作自演だろうと言ってみたり、なんだりで、孤立。それでも麻薬はやっぱりアカン、と、組織の中核に殴り込み取材をかけ、でも結局は殺されてしまう。で、死後の英雄になった「ヴェロニカ・ゲリン」は世論を動かし、麻薬汚染は少しましになったのだった。
 これって、〈真〉を知るが故に〈よそ者〉となった〈善〉の体現者が〈美〉の体現者の協力を得て最終的に英雄になるという、ハリウッドの定石。でも定石がうまくはまってて、単純だけど面白い。
 ただ思うのは、こんな突っ走るタイプの人間って、そばにいたら鬱陶しいだろうな、ということ。キリスト教国って悪も善も極端な気がするのは私だけ?
(ジョエル・シューマカー監督 2003年 アメリカ VERONICA GUERIN)

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『僕の彼女を紹介します』

『僕の彼女を紹介します』(DVD 05年5月19日鑑賞)
 何かと言えばキレて暴力を振るう婦警(これ、男女が逆だったらとんでもない話だよ)とちょっと気弱な高校教師との破天荒な恋愛。婦警と教師が組んで夜の街をパトロールするのはいいとして、麻薬の取引場面に遭遇した婦警があそこまで単独で突っ走っていいものかね、とか、崖崩れに遭って車が流されて、オイオイ、とか、リアリティというものをあえて無視したような展開が続き、中程からはちょっとホロッとさせたかったんだろうけど、その〈死〉はあまりにも重くて全体のバランスが悪くなってる。
 でも『猟奇的な彼女』よりは格段に面白い。むしろタイトルを入れ替えた方がいいんじゃないかな。こっちの「彼女」の方が遥かに「猟奇的」だよ。
(クァク・ジェヨン監督 2004年 韓国)

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『赤目四十八瀧心中未遂』

『赤目四十八瀧心中未遂』(DVD 05年5月18日鑑賞)
 この原作者の文章はすごいけどそこにある自意識過剰が鼻についてあまり好きじゃない。で、原作そのまんまの鼻につく映画。
 尼ヶ崎に流れてきた作家崩れのような男とヤクザの妹がなんだかんだで心中未遂。状況にただ流されていくしかない無力な男と、兄を思いそれでも流されるしかない女の、四十八瀧を辿る死出の道行きはゾッとするほど美しい。けれど、なんか無意味に長い気がするんだよな。そういう倦怠感をも含めた鑑賞態度を求めているのかも知れないけど、それはあまりにも作る側の傲慢だという気がする。面白いよ、面白いんだけどね。
(荒戸源次郎監督 2004年 日本)

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『海猿』

『海猿』(DVD 05年5月17日鑑賞)
 海上保安庁の職員の中でもエリート中のエリート(なのか本当はよくわからないが、劇中ではそうなっている)である「潜水士」になるための訓練を受ける14人。二人ずつペアを組み、全て二人の連帯責任で過酷な訓練を乗りこえていく。はずが、ここで片割れが実にドンくさいヤツでとか、お約束のトラブルが色々あって、また〈死〉による倫理の転換など、私の唱える物語的〈倫理〉の典型となっている。
 プールでの訓練の様子等それなりに面白い場面も多いのに、主人公の伊藤英明に影が無さすぎて今ひとつ入り込めない。こういう線の細い俳優には、もっと(『白い巨塔』でのような)せっぱ詰まった状況に追いこまれる役を期待したい。
(羽住英一郎監督 2004年 日本)

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『MIND GAME』

『MIND GAME』(DVD 05年4月27日鑑賞)
 淡い思いを抱いていた幼なじみ「みょんちゃん」との再会が思わぬ悲劇に繋がり、「西君」はヤクザに撃たれて死んでしまう。ところがこの世への未練を哀れに思った神さまの計らいで「西君」はヤクザに撃たれる寸前に戻ってくる。で、ここからは窮鼠猫を噛んだ「西君」のヤクザからの、そして警察からの、「みょんちゃん」を連れた逃避行が始まり、逃げ込んだのはクジラの腹の中、しかもそこにはこの世界での大先輩がいるのだった。
 と、ストーリーは極めて荒唐無稽。なのに寂しさや空しさのリアリティは濃厚で、アニメの超絶技巧云々よりも、むしろ日本的なペーソスで評価したい、元気になる一作。
(湯浅政明監督 2004年 日本)

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